VUCA時代のビジネス組織に必要な【インタープレイ】という概念

ビジネス

グローバル化に進展によって 新たな市場の開拓や新規事業創造といった目的に向けて 異文化・異業種の人々との『協働』は ビジネスパーソンにとって”当たり前”の状況になっています

この『協働』において 教科書的な回答として『コミュニケーションが重要』となるのでしょうが 

「で?何からやればいいの?」と疑問を抱く人も多いはずです

ジャズに例えてビジネス組織を考える理由

ジャズは 『個人の音楽であると同時に集団の音楽』 です

譜面に書かれている通りに演奏されるのでなく 個人の創造性『インプロヴィゼーション』を基本としていますが『重奏』『協演』の重要性を認識した上での『集団としての創造性』もなければ ジャズ という音楽は成立しません

「バンドで大切なことがなにかわかるかね?実は音楽なんかじゃないんだよ。一番大切なのは、人間というものを学ぶことなんだ。」

カウント・ベイシーの名言

インタープレイ(interplay)

ジャズの演奏には【インタープレイ (Interplay)】という概念が存在しています

特に プレイヤーの”絡み”が目立つ演奏に

「凄いインタープレィだ」 って感じになります

interplay = 相互作用、交錯

ジャズの世界では この『インタープレイ』は極めて重要な概念(?)ですが 言語化するのが難しいものです

私は ただのジャズ愛聴者のひとりですので 気の利いた上手な説明は出来ませんが 自分なりには 次のように整理しています

あるプレーヤーのインプロヴィゼーション(即興演奏)によって 他プレーヤーが触発されて 同じようにインプロヴィゼーションを返すことで 個人間で競合・共鳴・調和を繰り返しながら お互いのパフォーマンスを高め合うことで 組織としての最高のパフォーマンスに結び付ける感性

「組織において【コミュニケーション】が大切です」と言われていますが 人間誰しも「相性」というものはあります

しかし業務遂行において「好き嫌い」は重要視される指標ではありません 

必要なのは【インタープレイ】ではないでしょうか?

『VUCA時代は ”ジャズ型組織” が生き残る形態のひとつ』

と私が考えている理由のひとつです


【インタープレイ】は 双方向性のもので 仕掛けた人が又仕掛けられ 仕掛けられた人が仕掛け返すといった相乗効果を引き出すものですてしまうというものです

予め打ち合わせして 準備し上で行われる絡み合いではありません

次の曲を聴いてもらうとイメージしやすいと思います

『Interplay for 2 Trumpets and 2 Tenors』(1957.3.22)

John Coltrane & Bobby Jaspar – tenor saxophone
Idrees Sulieman & Webster Young – trumpet
Mal Waldron – piano Kenny Burrell – guitar
Paul Chambers – bass Art Taylor – drums

リード楽器のソロ演奏があり それぞれの演者の合奏があり 自然発生的に様々な組み合わせでの演奏が行われます

「合奏」ではなく「重奏」

イメージ伝わりましたでしょうか?

【ソロ】⇒【重奏】⇒【ソロ】といった構成で作品を創造していく

個人個人の自由に任せていますが 自然に演者が絡み合いながら ハーモニーを奏でながら 最終的には最高の作品を創造する

この概念が【インタープレイ】です


Bill Evans 『Interplay』(1962.7.16&17)

Bill Evans (piano) Freddie Hubbard(trumpet) Jim Hall(guitar)
Percy Heath(bass) Philly Joe Jones(drums)

人数規模別組織の特徴

日本型経営企業に多い『オーケストラ型組織』

1人の指揮者が統率するオーケストラ型組織は ルールに従って計画的にマニュアルをベースにして動く 大きな組織に多いと思います

指揮者=「プレイヤーではない」=中間管理職 といったところでしょうか?

オーケストラ型組織では 指揮者とプレーヤーとの『ツーウェイ・コミュニケーション』でしょうから プレイヤー同士の『インタープレイ』という概念が必要ないのかもしれません

定型パターンの業務(流れ作業的)・当該企業における従来型の継続していく業務などには適している組織形態

大企業における多くの部署構成のベースとなっているのは このオーケストラ型組織形態をでしょう

注)オーケストラの音楽を全く知らないので 私の想像ですが(笑)

ジャズのビッグ・バンド型組織

ジャズのビッグ・バンドも大人数組織ですが 指揮者ではなく プレイング・マネージャーという形態です

営業部署(担当客先別・地域別など)・研究部門での組織形態

プレイング・マネージャーの力量によって組織運営はマチマチです

そもそもビッグバンドの基本は サックス5人・トロンボーン4人・トランペット4人・ピアノ・ギター・ベース・ドラムの17人編成ですが ビジネス組織においても これ以上人数が増える組織運営が難しいと考えます

ジャズ・コンボ型組織

コンボとは?(引用:日本大百科全書)

ジャズ用語。大編成のバンドに対する小編成のジャズ・グループのこと。スモール・グループともいい、コンビネーションcombinationに由来する。3人編成(トリオ)から8人編成(オクテット)ぐらいのものが多いが、8人くらいのものはビッグ・コンボとよぶ。

引用:日本大百科全書

ジャズは個人の「個性」「独自性」を聴かせる音楽

「合奏」は ほとんどなくて 基本は「重奏」

私は『ジャズ・コンボ型組織』がビジネス組織における標準形と考えています

スポーツ・チームで考える勝つための組織作り

プレーヤーはプレーに専念 監督はチーム・マネジメント その他の管理業務はそれぞれの部署が行う組織の細分化が行われています

野球型組織

野球は『ピッチャー vs バッター』という【個人vs個人】の勝負から始まり、『攻撃』『守り』がハッキリしているゲームです 

ビジネス・シーンでは スタートアップ企業やベンチャー企業で

「エースで4番バッター兼監督」=創業者=社長

といった組織でしょうか?

社長個人の力量に左右される部分は多いので「いかにしてフォロワーの育成するか?」が大切です

「誰を中継ぎピッチャーとして登板させるか?」「抑えピッチャーの準備は出来ているか?」「ここは代打を出すべきか?」「ヒッティングか?送りバントか?」といった指示をする

  • 監督としての役割
  • 中心プレーヤーとしての役割

自分の持っているイメージと違うとすぐ矯正しようとする。

こんな上司のもとにいる部下は不幸。

(引用:野村克也名言集)

個人の技術は「背中を見て覚えろ」という『暗黙知』だらけでしょう

社長が「バットをこんな風に振れ」と『形式知』として伝えたとしても プレーヤー本人が練習を重ねて身体に覚えさせなければなりません

社長に反対意見や本音が言える雰囲気があるか?

ここが最大のポイントでしょう

サッカー型組織

サッカーの日本代表チームをイメージしてください

今月の日本代表メンバーは 欧州クラブチームで活躍しているプレーヤー中心で構成されていたチームで “個の力”を集めたチームです

ビジネス・シーンでは ある目的達成に結成されたプロジェクト・チーム とお考え下さい

招集されたメンバーは 実力も実績もある”プライド高き”人たちで それぞれがポジション争いのライバルです

「あいつが嫌いだからパスを回さない」といった考え方は存在していません

こんなメンバーに短期間で 戦略・戦術を理解してもらって プレーヤーに実行してもらうのが 監督の手腕が試されるところです

余談ですが

ドーハの悲劇~ジョホールバルの歓喜 の中心メンバー キング・カズこと”三浦 知良”選手は 日本として初めてW杯に出場する フランスW杯のメンバー最終選考で 落選しましたことがありました

私の個人的見解ですが

  • 岡田監督が描いている戦術に キング・カズ は上手く当てはまらなかった
  • ベンチを温めるだけのキング・カズはチームにいい影響をもたらさないと考えた

これが キング・カズが最終的にメンバーから落選した理由で 現場の指揮官として【全体最適】を考えた上での “大決断” だったと思っています

バスケットボール型組織

バスケットボールは 攻守の切り替えが早く 同じ選手が何度も交代することができ 3ポイントラインの外側からのゴールは3点、3ポイントラインの内側からのゴールは2点、フリースローでのゴールは1点 と点数の入り方も違っています

ビジネス・シーンでは 多くの中小企業が『バスケットボール型』組織と考えらえます

監督(社長)の采配はもちろんのことですが チーム・キャプテン(中間管理職)が いかにしてチームの一体感をつくるか?ということは 重要でしょう

人材育成がカギ

組織として用意する環境

「ピザ2枚の法則」

ジェフ・ベゾスCEOが語っている「ピザ2枚の法則」

構造がどうであれ 全員が積極的にイノベーションのプロセスに貢献でき 意思決定に参加できるようなチームが理想

つまり ピザ2枚でお腹がいっぱいになれる人数でなければ チームが大きすぎる

『心理的安定性』

そして昨今よく耳にする『心理的安定性』

「球団のため、監督のため、そんなことのために野球をやるな。自分のために野球をやれって、そう言ったんだ。勝敗の責任は俺が取る。お前らは自分の仕事の責任を取れってな」

落合博満元監督の言葉

この発言にあるような【リーダー『責任と覚悟』】があることが大切です

ビジネス組織における【インタープレイ】とは?

組織において必要な要素は?

「リズム」「メロディ」「ハーモニー」

は間違いなく必要です

そして忘れていけないのは

「音色」

です

それぞれのプレーヤーの「音色」=「個性」を最大限に活かすのならば

プレーヤー間の「リスペクト精神」と【インタープレイ】

ここがとても大切なんだと考えます


この業務プロセスは

「この人でなければ分からない」「この人でなければできない」

という体制になるが問題です

「自分が所属しているチームの目的・目標は何なのか?」

「他者が行っている業務と自分が担っている業務がどんな関係にあるのか?」

他メンバーの業務に興味を持つ

この気持ちが【インタープレイ】のベースなのかもしれません

自分の担当業務を『知恵』と『工夫』で効率化して【質を向上させる】 

業務が関連する他者との連携の【質も向上させる】

そこが【プロフェッショナル】の【インタープレイ】と思います

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