自分が知っている限られた範疇でしか判断できないことの愚かさ
数年前 【Spotify】リスナーのデータをもとに調査した上記研究結果が話題になりました
人は33歳までに音楽的嗜好が固まり、新しい音楽への出会いを止める傾向がある
確かに歳をとった人はいつも同じような音楽を聴く一方で新しい音楽には興味を示さない傾向が強い気がします
ノックス大学の心理教授:フランク・T・マカンドリューが 学術系ニュースサイト【TheConversation】で考察を披露しています
個人差はありますが 音楽の好みというのは10代前半に固まりはじめて20歳ごろに固まり年齢を重ねるにしたがって、仕事が忙しくなったり、家族のことに時間を取られたりして 新たな音楽に触れる時間が減少していって【33歳頃】には 新たな音楽を聴くことは ほぼなくなっていく傾向が顕著
だということです
【生物学的見地】
コードやリズム メロディの微妙な違いを聞き分ける能力が年齢とともに低下する
自分があまり知らない音楽はすべて同じように聞こえてしまっていることが考えられます
【単純接触効果】
接触する機会が増えると その相手に親しみが増す効果のこと(1968年にアメリカの心理学者ロバート・ザイアンスによって提唱されたため「ザイアンス効果」と呼ばれることもある)
マカンドリュー教授は 新しい音楽に触れる時間が減少していって『単純接触効果』で流行の音楽を 好きになるほど聴くことがないこと から昔からの聴いていたお気に入りの曲を聴き続けることになると説いています
変革の目詰まり原因になるオッサンという人種
昔気質のジャズ・ファンである『オッサン』に若者が
ジャズもヒップホップも 人種差別から創造されていったダイバーシティ音楽ですから 相性は抜群でよね」
と声をかけたら『オッサン』の回答は?
「ジャズの本質が全くわかっていないね ダイバーシティの意味すらわかっていない それじゃダメだね」
更に若者が『オッサン』に問いかけます
自分が知らないモノゴトには『まず否定から入る』という習性があります
「モダンジャズとヒップホップは インプロヴィゼーション ビート感 インタープレイ といった多くの点で共通点があって フリースタイル(ラップ)は ジャズメンの即興パフォーマンスを彷彿とさせます」
ここで『オッサン』は 声には出さすに 心の中で呟きます
最近の若者は 何もわかっていない 全く勉強していない
この『オッサン』のリアクションこそが 変革目詰まりなんです
自分が知っている範疇用の「ものさし」しか持っていないので
『故きを温ねて新しきは無視する』
これが『オッサン』という人種の特徴です
ヒップホップが落ちぶれかけたロッカーを救った
1970年代半ばに絶頂期を迎えていた エアロスミス
1979年 ギターリスト ジョー・ペリー脱退
1981年 ギターリスト ブラッド・ウィットフォードも脱退
80年代前半には 忘れられたロックバンドに
1984年 エアロスミスは オリジナル・メンバーに戻って 8thアルバム『ダン・ウィズ・ミラーズ』をリリースしましが ヒットせず、、、
1975年リリースのエアロスミス3rdアルバム『闇夜のヘヴィ・ロック(Toys in the Attic)』収録曲
♬Walk This Way♬ は既にヒップホップ・ファンに愛されていて
イントロの4小節をループしてラップ していました
ヒップホップ・グループ 【RUN DMC】は
♬Walk This Way♬ のリフをサンプルして 独自の曲を作ろうと思っていた矢先に
プロデューサーのリック・ルービン(デフ・ジャムレコード創業者)から
「♬Walk This Way♬のオリジナル歌詞と同じリリックでカバーをしたら面白いんじゃないか?」
提案されました
【RUN DMC】は 当初
「いやいや、さすがにロックとラップの融合みたいなのやりすぎだよ!」
と難色を示したのですが、、、
この曲が大ヒット!
ヒップホップの新たな扉を開いた【破壊的イノベーション】
この曲に力を借りて エアロスミスは ロック・シーンの最前線に復活!
【おじさん(リック・ルービン)】と【若者(RUN DMC)】そして【おじさん(エアロスミス)】のフュージョン(融合)
『温故知新』⇒『温故創新』⇒ 破壊的イノベーション
ジャズとヒップホップの融合による破壊的イノベーション
ニューヨーク・ブロンクスで産声を上げた ヒップホップ
ロンドンに渡りモダンジャズ・レコードをサンプリングするようになっていきました
時代背景や流通市場の状況も違いますが
ジャズ専門レーベルであったブルーノートで一番売れたレコードは?
1991年にロンドンで結成されたヒップホップ・グループ【US3(アススリー)】のファースト・アルバム『Hand on the Torch』(1993)です
1992年 ブルース・ランドヴァル(当時のブルノート・レコードの社長)は
グラント・グリーン(ジャズ・ギターリスト)の曲を無許可でサンプリングしていた【US3】と正式契約を結びブルーノートの音源を無制限の使えるようにしました
【US3】は ハービ・ーハンコックが1964年に発表した「Cantaloupe Island」をサンプリングすることで 新しいヒップホップ・トラック「Cantaloop (Flip Fantasia)」を作り出し大ヒット
このジャズとヒップホップの融合によってヒップホップ・ムーブメントが世界中に広がっていったと言っても過言ではありません
『おじさん』と『若者』のダイバーシティー&インクルージョン
ブルース・ランドヴァル(1935年生)という『おじさん』の先見性と想像力 そして覚悟と決断
ヤンチャな若者【US3】に対する【ブルーノートの音源を自由に使っていい】とした『権限移譲』によって創造できた 破壊的イノベーション
ヒップホップとジャズの融合
『温故知新』⇒『温故創新』⇒ 破壊的イノベーション
『創造的摩擦』は必要
「良い」vs「悪い」 「好き」vs「嫌い」 「古い」vs「新しい」 「若者」vs「老人」
様々な事象を2項対立型で分類して整理することが大好きです
この考え方が、クロスオーバー・フュージョン(融合)することへの大きな障壁になっていて
イノベーションの阻害要因のなっています
『互いに矛盾するがどちらも妥当な二つの命題が存在する』
このことを融合させるには『慎重さ』と『大胆さ』という考え方が必要です
『新しいことに興味を持ち続け自尊心に創造の邪魔をさせない』
【ヒップホップとロックの融合】【ジャズとヒップホップの融合】で感じたこと
イノベーションを生む鍵は「建設的な意見の対立」をいかにつくるかにある。そのためには、多様な個性を持つメンバーを集め、異質なビジョンを組織全体で戦わせることが不可欠となる。ただし、各人の認識パターンや行動における志向を互いに理解し合えるような土壌がなくては、個性を潰し合う結果を招いてしまう。組織内の摩擦を創造的に転換するマネジメントがあってはじめて物事に対する多角的な切り口が生まれ、コラボレーションが可能になるのだ。(引用:ハーバード・ビジネススクール ドロシー・レオナルド教授著書『「創造的摩擦」を活用するマネジメント』)
新しいことを始めるには『失敗』というリスクが伴うので、今まで通りのことを継続していたら「責任を問われることはない」という”自己保身”心理も働くのでしょう
そんなことを繰り返していては無駄な時間だけが過ぎていくだけです
『総論賛成各論反対』の結論は『現状維持』
コメント