【GAVI理論⓪】ジャズにはイノベーションのヒントが隠されていると気がついた理由

ビジネス

私は ジャズ愛聴者の一人であり マイルス・デイヴィス信者の一人です

ジャズを聴きながら ジャズが進化してきた歴史を紐解いてみると 実に楽しい発見ばかり

「これは イノベーションが創造できる個人・組織の在り方の最高の研究対象だ」

と考えて【GAVI理論】と名付けています

今回はプロローグ的位置づけで まずは【多様性】という視点から考えていきます

ダイバーシティが創造したクリエイティブなジャズという音楽?

南北戦争終結によって軍楽団から大量の楽器が放出されたことによって 奴隷として扱われてきた黒人でも安価で楽器が手に入るようになったことが ジャズのスタート地点でしょう

黒人が奴隷時代に 労働しながら歌っていた「ワーク・ソング」「フィールド・ハラー」が ブルースの起源であり ジャズの起源とされていて ブルースとジャズは兄弟のような音楽です

『ブルースはギターを弾いて歌『ジャズは楽器演奏のインストゥルメント』

では?どちらが メジャーになるのが早かったのか?

何をメジャーの基準にするのか?様々な考え方はあるとは思いますが 

ジャズがメジャーになるのは早かった

それは 1930年代から1940年代初めにかけて大流行した 白人が主体となって作られた 大人数編成によるスゥイング・ジャズ によって 世界中に広がっていったという理由からです

私がジャズに注目した最大の理由

多様性を「認めて」「受け入れて」「共存共栄する」ことの難しさ

この【難しさ】を教えてくれたのが ジャズ だったんです

【白人社会】と【黒人社会】間にある 払拭できない『滞在意識』によって生じる『差別』『対立』『分断』

皮肉にも この『差別』『対立』『分断』があったから ジャズは黒人主導で『ビ・バップ』『クール・ジャズ』『ハード・バップ』『モード・ジャズ』とイノベーションを繰り返しながら進化していきました

TSB-Project作成資料から抜粋

言うは易く行うは難し

昨今 やたらと耳にするようになった『D&I推進』というワード

あらゆるビジネスパーソンの『潜在意識』のアップデートが急務のような気がします

なぜ?今になって多様性が叫ばれているのか?

【ダイバーシティ:Diversity】(多様性)

「多様な個性 背景を持つ人材を積極的に採用し 組織にさまざまな人材が存在している」

【インクルージョン:Inclusion】(包摂性) 

「互いに個性を認め 受け入れ合い 一体となって働く」

要約すると

「多様な個性の人材を受け入れる」⇒「その人々の個性を活かす」⇒「イノベーション創造」

を目指すものと考えて良いと思います

グローバル化に進展によって 新たな市場の開拓や新規事業創造といった目的に向けては 従来の考え方に無い 異文化・異業種の人々との『協働』を行っていことがイノベーション創造には不可欠なことと考えられて 様々なビジネス・シーンで 『D&I推進』というワードが頻繁に聞かれるようになった理由です

『D&I推進ごっこ』が横行している日本型経営企業

大量消費・大量生産の高度成長期に形成された メンバーシップ型雇用の日本型経営企業

『新卒一括採用』『年功序列』『終身雇用』『退職金制度』『企業内労働組合』

全てが「就職」というより「就社」=「定年まで勤めあげる」を前提とした制度下で発展してきました

そして『トップダウン方式』での組織運営方針でやってきたので 

『同質』『均一』『画一』『何処を切っても金太郎飴』=『没個性』

の『管理型』組織運営であったことは否めない事実です

『政治主義』『官僚主義』『前例踏襲主義』『減点主義』『出る杭は打たれる』

と比喩される日本型経営企業

こんな環境下で働き続けてきた人が 現在 役員・役員候補生・管理職のポストについて【決定権限者】になっています

そんな【決定権限者】「多様性を認めて受け入れなさい」という概念が理解できていても イザ行動に移すとなると「やらなきゃいけないことは分かるけど どうやって進めるの?」という具体的手法がピンと来ていないと思われます

『総論賛成 各論はよく分からない』

これが実態ではないでしょうか?

『価値観の違い』と『思考法の違い』という切り口で考えてみる

下図をご覧ください

TSB-Project作成資料より抜粋

メンバーシップ型雇用である企業は 上図① と考えていいでしょう

この 上図① に該当する組織に 価値観が大きく違う人材が投入されると(上図②) ギクシャク感が生まれて

【既存メンバー】vs【新しく加入したメンバー】 ⇒ 【対立】⇒【分断】 

という構造になりがちです

TSB-Project作成資料から抜粋

メンバーシップ型雇用企業が『D&I推進』を行うにあって 

【価値観】が近くて【思考法】が違う人材の投入

まず 上図③ に該当する組織構築を考えていく方がスムーズでしょう

【組織変革できる人材】=『よそ者』『若者』『変わり者』

『転勤』によって組織に新しい人材がやってくるのも『よそ者』です

転勤の経験者の方ならば お分かり頂けると思いますが 新しい組織の働き方などを見聞きすると

「え?なんでこんなことやってるの?以前の部署とは全く違っている?

という素朴な疑問を抱くことは多いと思います

この『よそ者』が感じたことが その組織の【違和感】と言ってもいいでしょう

チャンスを逃す「郷に入っては郷に従え」「前任者のやり方を踏襲」

『若者』の投入でも同じなのですが 外から入ってきた時がチャンスであるのに 上記の「郷に入って郷に従え」によって 無理やり【既存の枠】に押し込んでいまって【違和感】をオープン化しないようにしています

受入れ側には「悪気も悪意も全くない」とは思いますが「悪気も悪意もない」のでタチが悪いんです

「タチが悪い」は言い過ぎとしても その組織の『当たり前の違和感』に気が付ける最大のチャンスを【潜在意識】によって潰しているのは間違いないです

その点『変わり者』「なんで?こんな方法でやってんの?別の方法を言いましょうか?」と切り出すことがあります

この場合『変わり者』は排除されて オオカミ少年扱いされる可能性の方が高いかもしれません

新しくやってきた『よそ者』『若者』『変わり者』を活かせないのは 既存組織で出来上がってしまっている組織文化(or価値観)です

自分たちで作り上げてきた 組織文化(or価値観) による【固定観念】【既成概念】そして【当たり前】が イノベーションの阻害要因なんです

オーケストラ型組織にジャズマンが加入したら?

指揮者の下で 楽譜通りの演奏を求められるオーケストラの楽団員の中に 『即興演奏』が基本のジャズマンが加入したら どうなるでしょうか?

『欠員パートの代替』が目的ならば ジャズマンを加入させる必要はないでしょう

大前提が【指揮者の下で楽譜通りに演奏すること】だったら ジャズマンの最大のセールスポイントである【個性】を封印するので 期待したいパフォーマンスとは 程遠いものになるでしょう 

何の目的で 新しい人材を投入するのか?

【既存メンバー】vs【ジャズマン】 の『対立』となり『分断』となってしまったら最悪です

日本人の特徴としてあげられる『ムラ社会』における 暗黙の”掟”と”空気”

これも『潜在意識』と深い関係があると思いますが 

いかにして このムラ社会』感覚から抜け出すことができるか?

ジャズを学ぶことによって 多くのヒントが隠されていると感じています

今回のまとめ

『D&I推進』という概念自体が そもそも足りない部分があると考えています

多様性を「認めて」「受け入れた」 その後の概念が不足しています

多様性を「認められて」「受け入れられた」人にとっては 【帰属性】と【心理的安定性】ということが無ければ 最高のパフォーマンスどころか 辞めてしまうことになりかねません

同一組織内においては【Belonging(帰属性)】という概念も浸透しなければ「共存共栄は難しい」とジャズの歴史は証明しています

現状の【メンバーシップ型雇用】【人事諸制度】での『個性の発揮』は簡単ではないでしょう

なぜなれば 多くが【型】【枠】を作って そこから「どうするか?」が発想の原点になっていますので 『よそ者』『若者』『変わり者』には窮屈にしか感じないと思います

次回以降は 様々な視点からテーマを絞って論述し 具体的な解決策の提言を行っていきたいと考えています

最後までお読みいただきありがとうございました

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